こみなと日記

2023年-2025年 フランス大学院留学

渡仏15周目 階級が生まれる瞬間

12月11日〜17日

 今年最後の試験が終わった。それと同時に色々な感情が湧き立つ一週間だった。

 口頭試験は企業のブランドに関するもの。全てのグループが同じテーマを検討し発表した。私のグループはクラスでも優秀な人物が集まった。ひとりは早めの冬のバカンスに入っており、遠隔でレユニオン島からの参加となった。一人が遠隔で、他が対面だと問題が発生する。そのひとつは対面側が話し合っている内容の全てが遠隔側に伝わらないこと。対面側が話し合いをしつつ、彼女が作った資料を添削していると彼女が憤慨。自分の成果物に手を加えられることが我慢できなかったらしい。成果物といっても明らかにChatGPTで作ったであろうという水準のもの。彼女を宥めつつ、しょうがなく彼女の言う通りに資料を戻す。自分の意見を押し通すほどのフランス語能力がまだない。 

準備中、友人の一人が他の班のクラスメートを批判していた。理由はその人たちがグループワークに一切貢献していないから。私も同じグループになって作業をしたことがあるが、確かに貢献していなかった。グループワークの成果は自身の成績に反映されるため、しっかり貢献するクラスメートと組みたいのは理解できる。その反面、働かない人は批判され、学校内ではカーストの下位に位置付けられる。3ヶ月間も経つとクラスの中でカーストが生まれている気がする。そしてフランス以外のフランス語圏の人々への差別が徐々に浮き出てきている。明らかに彼ら彼女らへの言葉遣いや態度が変わってきている。そしてその態度は伝播する。私は唯一のフランス語圏外のクラスメートなのでカーストの外部な気がしている。異邦人なのだ。

 発表中、教授が時計をチラチラみていた。日本の職場で何度か見た光景で、だいたいの場合、話が長いなと思っている。同じ班の人に伝えようかと思ったが、もし早めるように言って、発表の評価が下がったりしたら私のせいにされる雰囲気だったので言わなかった。案の上、発表後に教授から時間管理が甘いと厳しい指摘を受ける。優秀な人物が集まるとそれぞれがしっかり調べ発表するので必然的に長くなる。それを時間内にまとめることができる統率力を持った人物が必要になる。こういった場面に統率を取れるような一段階上のフランス語が必要になってきた。

新しくできた友人とランチに行く。家族経営のイタリアンのお店。友人曰く、このピザはナポリ式のピザらしい。生地は薄め、みみは厚め、一枚が大きい。確かに昔ナポリで食べたピザもこんな感じだった。

息抜きにフィルハーモニーパリを拝聴しに行く。目的はブラームス交響曲四番。3楽章、4楽章が最高に良かった。久しぶりに鳥肌が立つぐらい感動できた。

 週末は疲れ果てて完全に風邪を引いたため家にいた。日本から持ってきた漢方を飲み、ベットで横になりながら本を読む週末だった。